バチ

 三味線は、バチを用いて演奏します。(ただし、小唄は除きます。)
 バチは、握る部分が四角で、先端は薄くてイチョウの葉のように開いています。
 材料には、象牙、木(樫、黄楊、柊)、鼈甲などが用いられています。

 バチは、写真のように多くの種類があります。
 形・材料・大きさは、各ジャンルでおおよそ決まっていますが、流派やその人の音色の好みによって違ってきます。

 象牙の平バチは、大きさを才尻(さいじり)の寸法で呼びます。
 木バチは、重さを補充するために、鉛を埋め込んであり、才尻に匁で表示されています。共に、大きさが大きくなるとそれに伴って全体が大きくなります。下表は、各ジャンルで用いる一例です。

ジャンル才尻寸法木バチの重さ(匁)
長唄8分角 8分×8.5分20 25 (曲によって30以上)
常磐津9分角 1寸角40 45
清元9分角 1寸角40 45 50
新内9分角 1寸角45 50 (女性は35から)
※上調子は小バチ
地歌七五(丈 7寸5分) 七八(丈 7寸8分)
義太夫寸法表示は、特になく、大きさは人によって異なるので、
一例を記します。
開き7.7cm 丈25cm 才尻3.2×2.8cm バチ先の厚み0.6cm 重さ250~280g

 象牙の平バチは、1本の象牙で作ったものを「丸バチ」、手元で別の象牙を接いであるもの「接ぎバチ」といいます。