青?裸々な日常
2008年10月1日~
第156号  鉄十郎一年祭。


10月1日(水)
都民の日ということで娘の小学校は休み。
おお、あったなあったな、そういえば「都民の日」。
高校から私立になって関係なくなっちゃったけど、それまではキチッと休んでいたなぁ。
それぞれの県で、そういう日があるんでしょうねぇ。
僕は一日中お稽古日。
早や10月になりにけり
みたいな感じの一日でした。


10月2日(木)鉄十郎一年祭。


昨年の10月3日午前零時18分に、鉄十郎師が亡くなった。
感覚的には10月2日ですな。
「ちょっと異変があったんだけど、今夜ってことは無いと思う」
と言われたんだけど、なんか「いや、今から行く」と言って病院へ駆けつけた。
駐車場に入れるのに一回りして病室に行ったら
「いま死んじゃったんだよ」と言われた。
なんやねん。
一番弟子の到着を待ちなさいよ。
ったく、父母といい師匠たちといい、気の早い人たちばかりで。
まぁ、鉄十郎師匠の場合はこっちも覚悟ができていたので、
「ああ、今日だったのか」と思った昨年でした。
というのも
10月2日が鉄十郎師の兄貴というくらい仲良しの和佐次朗師の誕生日だったから。
なんか、いいやね。
和「アキちゃん(鉄十郎師)来たんか」
十「わさやんよか長生きしたよ」
和「ははは、せやかて、10年は生きんかったな」
和佐次朗師は64歳で、鉄十郎師は72歳だった。
鉄九郎の実の師匠は鉄十郎。
三味線の師匠・生きる支えと惚れ込んでしまった師匠が和佐次朗。
この二人はしょっちゅう夢に出てくる。
こないだも釣りに行くとか行かないとかやってた。
お弟子さんにお稽古つけてるときに、「あれ?」って思うことがある。
そのすぐ後、「あ、こうか」と思い直すときがある。
唄のことなら鉄十郎師。三味線だったら和佐次朗師。
この二人が「コラッ」と言って頭叩いてくれてんだと思う。
いや、それしか考えつかない。
ほんに芸の血とはスゴイもんである。
生れも育ちも立派に他人様なのに、師弟になり、そばに居れば居るほど似てくる、つまり血が通ってくるんだろう。
この二人が僕に「こんなことやってみろ」と言う。
僕は必ず反発する。
「えーー、なんでーー、そんなこというなら自分でやればいいじゃーーん」
すると、ゴツッと叩かれる。
わかってます。
やらなきゃいけないってことなんですよね。
楽すんなってことですね。
俺のことを出来そうな奴でと選んでくれたのならまだしも、
「そこにいるし、言うこときくだろう」ってことなんでしょ。
ったく、わかりましたよ。
はい、わかっております。
精いっぱいやらさせていただきます。
あなたたちを師匠に持ってしまったのも縁でございますから。

今日は鉄十郎師の一周忌だった。
金光教なので「一年祭」というのだそうだ。
そうね、「一周忌」って言うよりも「一年祭」って感じですな、
ウチの師匠の場合は。
いい天気でしたわ。
セミが鳴いたりね。
なんで10月にセミなんだよ。
「鉄十郎先生が遣わした」って?
自分で来なさい!
また、そういう近くのものをつかってーー。
和佐次朗さーん、なんとか言ってやってくださいよー。
和「はははは」
ふふ、まぁいいですけど。
十「アツシ太ったな」
知ってますよ!
すぐにやせますよ。
いや、やせてみせますとも。
和佐次朗さん、吉原弾くんですけど。
和「なんかワシのテープあるやろ」
はい、参考にします、あ、目指します。
おかしいとこあったら言ってください。
和「うん」
十「俺とやったのがあるじゃない、伝の会で」
はい、あります、僕が弾いたやつ。
自分が弾いてるから参考にならないじゃないですか。
十「まぁ、聴いておけばいいじゃない」
はい、そうします。
っていうか、それご自分で聞きたいんじゃないですか?
ご自分の唄を。
十「・・・・・」
・・・はい、聴いてみます。
十「いつ?」
あっ、やっぱり聴きにくるんでしょ、自分が唄ってるのを。
十「・・・・・」
近々聴きますよ。
伝の会のビデオにあるんですよ。
どうぞご一緒に見たらいいじゃないですか。
師匠の爆笑トークもありますよ。
十「また出てやるよ」
はいはい、お願いしますね。
っていうか、昨年の本公演に出演予定だったの知ってますか?
十「そうだったっけ?」
ほーら。
十「で、どうしたの?」
ヒロキ(息子の忠次朗)が唄いましたよ。
芸術祭参加だったんですよ。
十「唄えば良かったな」
そりゃそうでしょ、まぁいいですけどね。
師匠のことですから、今更驚かないですけどね。
あの時も驚きませんでしたよ。
まわりはね、「鉄十郎師匠大丈夫なんですか?ご出演できるんですか?」って心配してましたけどね。
僕の決めることじゃない、師匠がなんとかするだろうって思ってましたよ。

一年祭が終わって、午後の日差しの中、鉄駒と鉄六とテクテクと駅まで歩く。
ビールが効いたのか、眠くてしょうがない。
それと、なんだかとってもホッとした。


10月3日(金)
身体が休みたがってる。
「今日、なんにも予定入れてないじゃないっすか、休みましょうよ。
ゆっくり寝やしょうよ。
ご主人だってわかってたんでしょ、3日は休日になりそうだなぁって。わかってたはずでっせー、心の奥んとこで、身体休めたいと思ってたんですよ。そうなの、そういうもんなの。
いいんですよ、今日は休んじゃいましょ」
という声がしたので休むことにしました。
僕の場合
「休む」=「よく寝る」
ということなので、当然、起きたら12時は回っていました。
いやいや、よく寝た。


10月4日(土)伝の会 いわき。
昨日と打って変わって、めちゃめちゃ早くから起きてます。
いろーんな雑用してから上野に到着したのが9時少し前、
ここから特急に乗っていわきに向かうのです。
伝の会とスタッフで賑々しく向かいます。
最近、電車ではあまり寝られなくなってしまったので、2時間半はちょっと退屈。
福島県のいわき。
こちらで伝の会をやるのは初めてかなぁ。
200人くらいのホール、生の音で充分オッケーな環境。
良い良い、力まずに弾けるぞ。
こっちに10年もお稽古に通っているという、ミッ(鶴十郎)ちゃんにゲストで出てもらう。
すごく楽しかった。
また機会があったら良いですな。
打ち上げをして、また特急に乗る。
ガタコーンガタコーンの揺れですっかり酔ってしまった。
家に着くころには、ガタガタって感じ。
と、とにかく、寝まふ
と言って就寝。


10月6日(月)伝の会 学校出前ライヴ。
7時に家を出た。
一人で車を運転して現場に向かうなんて、随分と久しぶりだ。
最近、仕事に行くのに車を運転して行くということが無くなったし。
雨が降っていたのでのんびりと行くことに。
関越に乗ると雨は小雨になっていた。
ラクチン。
9時。
現場まであと10キロを残すのみとなったSAで食事。
現場の玉村町まで家から100キロくらい。
7時に家を出て2時間たっている。
え?
2時間で90キロしか走ってないの?
そんなにのんびり運転してたかなぁ?
なんだか、キツネにつままれたみたいだ。
さて、運転するかと車に乗りかけたところへ、見慣れた車が入ってきた。
邦さんは中華丼を食べるらしい。
玉村町文化センターが主催する「学校出前ライヴ」。
上陽小学校の6年生に伝の会。
2クラスある学年、一クラスずつ3時間目、4時間目にやる。
なかなかノリの良い子どもたちだった。
http://joyosyoblog.seesaa.net/article/107677921.html
文化センターに戻ってお昼ごはんを食べ、ゴロッと横になる。
邦さんはうつ伏せに寝たまんま、器用にイビキをかいている。
見事なものだ。
介護老人保健施設たまむらへ。
ここの人たちに伝の会。
うなずいて聴いている人生の先輩たち。
この中に、長唄に触れたことのある人もいるかも知れない。
古典芸能をこよなく愛した人たちがいるかも知れない。
その人たちに古典の魅力を伝えるっていうのも妙な感じだが、
良い時間だった。
帰りものんびり車を走らせたが、1時間ちょいとで家に着く。
やっぱ、つままれてたのかなぁ?


10月7日(火)
10月24日の本公演のお稽古をしました。
僕がやる「吉原雀」。
今回唄ってもらうのは、杵屋三左衛門さん。
昔は杵屋三七さん、三左衛門継いで家元になったのだ。
同い年。
1960年のネズミ。
昔から知ってる。
20代の頃から。
伝の会にも一度だけ出てもらったことがある。
仕事でも以前はちょくちょく一緒だった、若いときだけど。
三七郎くんのお師匠さん。
ここの師弟は両方子年。
12歳違いなんですな。
師弟らしかったり、兄弟みたいだったりと楽しい雰囲気だ。
その三ちゃんですが、
実は、タテ同士で演奏をするのは初めて。
これは結構スゴイことなのだ。
もちろん僕のリクエストです。
ずーっと演ってみたかった。
三ちゃんの唄で弾いてみたかった。
でも、普段一緒にやってないし、流派も違うので、曲の作り方、教わり方がかなり違うのでは、と、幾ばくかの不安もあります。
そして、迎えた今日。
鉄六を引きつれ、目白駅で三七郎くん、剛二郎くんと待ち合わせ、
三ちゃんの稽古場へ。
ま、ともあれ、一度弾いて見るから唄ってみて・・・みたいな感じで始めたお稽古。
まぁ、気持ちよく弾けましたなぁ。
楽しかったですねぇ。
こんなに作り方似てるかねぇと思うくらいに。
いい唄だわ。
デカイ身体から出てくる声。
本公演楽しみになってきた。
「吉原雀」楽しみ。


10月8日(水) 麻婆豆腐の作り方食べ方。
朝から出かけて午後に帰ってきてお稽古。
カミさんが留守をしているので、娘のご飯を作ることになっている。
今夜のメニューは麻婆豆腐。
カミさんがいないときは外食にしてしまうのだけれど、
「家でつくろうよ」という娘の一言で、メニューを決めるとこから始まった。
本当は、今夜は違うメニューだったが、夕方買い物に行く時間があることを発見し、急遽、麻婆豆腐に変更した。
夜のお稽古の合間に作る。
まぁ、簡単だよな。
素を頼りに作るんだからな。
ただ、料理を作るというのがすごく久しぶり。
娘のためにチャーハンくらいは作るが、他のものを15年くらい作ったことがない。
娘と息を合わせてササッと作る。
テ「よっしゃー、フライパンの準備は出来た。ひき肉を入れてくれー」
娘「はい」
テ「やけどすんなよ。フライパンは夢のように熱いぞー」
娘「こわいよー」
テ「よっしゃー、そこどけ、ササッと炒める」
娘「炒める姿は、昔やってましたって感じだねぇ」
テ「そりゃそーよ。20歳までの2年間フライパン毎日ふってたんだからな、ほら、こんなことも出来るぞ」
娘「う、うん。大丈夫、スゴイのはわかったから」
テ「それー、麻婆豆腐の素を入れてくれーー、あー、そんなんじゃダメダメ、いいか、レトルトの中身が空っぽになるまでな、こう絞ってな。そうするとレトルトが『もう空です』って言うからな。そうしなくっちゃいけねーよ」
娘「ネギは豆腐の後なんじゃないの?」
テ「いいんだ。俺はここでネギが入れたいんだ。大好きなんだネギが」
娘「関係あるの?」
テ「ああ、もちろんだともよ。ネギが炒まんないように最後に入れるっていうことだ。俺はな、ネギにもすこーし炒まってもらいたいんだ。
だから今いれるんだ」
娘「それなら素を入れる前のほうがいいんじゃない?」
テ「エライ。それが良かった」
娘「ガクッ、な、なんだよ」
テ「ホーラ出来たぜー。ご飯はかき回してあるか?」
娘「あっ!」
テ「急げよー。お弟子さんが来るぞーー。よっしゃー、出来たぜ」
娘「おいしい」
テ「早いな、一瞬の間につまみ食いしたなぁ」
娘「いや、レトルトの素」
テ「そんなもんなめるな」
娘「パパは今食べないんでしょ」
テ「ああ、お稽古が終わってから食べる」
娘「どのくらい残しておいたらいいかな」
テ「ああ、かまわない。うまかったら全部いっちまったって良い。なんつったって、お前がお腹いっぱいになんなきゃいけねぇ。俺はなんとでもなーる。博多で買ってきた明太子ふりかけもある。しかし、この明太子ふりかけ、俺しか食べないなぁ。家族が喜んでくれると思ったのになぁ。まぁ、ふりかけを元々食さない人種なんだな、お前たちは・・・あれ?」
娘「パパーー、すごくおいしいよ」
テ「もう食べてたんかい!」

お稽古が終わったのが21時すぎ。
二階に上がっていくと
テ「おっ、麻婆豆腐残ってるじゃん」
娘「うん、のこしておいた」
テ「うれしいけど、お前ちゃんと食べたのか?」
娘「うん、おいしかったからご飯三杯食べたよ」
テ「ヨシッ!それでいい。じゃもうこの麻婆豆腐は食べきっちゃっていいな」
娘「うん」
テ「ウマイ!」
娘「もう食べたの?」
テ「これから出かけるのだ」
娘「ああ、はい、早く帰ってきてね」
テ「うん。お風呂は沸かしてある。一人で入って、一人でふいて、一人で髪の毛乾かして、一人で歯を磨いて、一人でゴロンとしておけよ」
娘「さびしーー」
テ「はっはははは、大丈夫だ。すぐに帰ってくる」
娘「うん」
テ「ほなっ!」

21日に神宮でイベントがある。
その打ち合わせに青山までひとっ走り。
小一時間の打ち合わせで終わり、帰宅。
二階に上がっていくとお風呂上りの娘がソファで眠っていた。
よしよし、よっこらしょっと寝室に運ぶ。
でかくなったなぁ。
赤ん坊の時は両腕の中におさまってたのになぁ。
まぁ、小6なんだからな、でかくなって当たり前だな。
あー、重たい。
ホントは起きてんじゃないのか?
運ばれるのが気持ちが良くて寝たふりしてんだろ。
まぁ、いい。
そーれ、ベッドだー。
オイっ、明日は普通に起きるんでいいのか?
うなずいてやがる。
起きてんだよ。
起きてんだろ?
・・・・・
返事しづらいか、まぁいい。
とにかく寝ろ。
あ、明日の朝ごはんはふりかけご飯でいいか?
うなずいてるよ。
起きてんだろ。
・・・・・・
ったく、しょうがないねぇ。
ふりかけは明太子でどーだ?
首ふってやがるよ。
どーも、明太子ふりかけが人気ないねぇ。
俺は好きなんだけどなぁ。
なんにでもかけちゃうけど。
のりたましかないけどいいか?
うなずいてるよ。
ホントはタラコのがいいよな。
うなずくねぇ。
今度買ってこような。
覚えとけよ。
うなずかないねぇ、覚えとく自信がないんだね。
まぁいい。
おやすみ。
うなずいてるよ。


10月10日(金)博多。
夕方の飛行機で長崎空港へ。
バスと特急かもめを乗り継いで、結構な夜の時間に博多に到着。
仕事の打ち合わせやら何やらをし、おいしいモツ鍋屋に案内される。
すでに午後11時。
さあ、食べろーーー、飲めーーー。
やっとありついたビール。
フーーー。


10月11日(土)長崎。菊六ひとり会。
特急かもめで長崎に戻る。
昨日、長崎に降り立ったときには小雨が降っていたが、今日は良いお天気。
夕方、ブラブラと興福寺へ。
ウチのお弟子の江戸賀あい子さんがやってる「ぎやまん寄席」へ。
今回は「菊六ひとり会」。
あたしゃゲストで出演する。
おくんちが終わったばかりの長崎。
ウチの流派の鉄文歌(てつふみか)先生は、長年、おくんちで弾いている。
70年だって。
70年弾いてるって。
今年91歳。
元気。
誰よりも。
その先生がお弟子さんたち連れて見に来てくれた。
おくんち終わってヘトヘトなのに。
驚いた。
驚くさ。
さすがに出番前には緊張したもの。
会が終わって、ご一緒させていただく。
むかーーーしから知ってて、大好きな先生だが、一緒に食事したり飲んだりしたことはない。
おそれ多いと言うか、なんというか。
ステキなステキな先生である。
もっともっと話がしたい。
いろんなことを聞きたい。
時間が足りない晩だった。
「動けば動いただけ、得るものがある」
と、ある人に言われ、色々なところに出向くようになったこの3年。
今回の二日間もまさしくその通りの博多・長崎だった。


10月12日(日)
長崎から帰ってきた。
なんやかやと雑用雑用で。


10月13日(月)
稽古日。祝日の今日、お弟子さんもたくさん来てくれることになっている。
カミさんは留守。
稽古の合間にご飯をササッと食べていると娘が起きてきた。
テ「お昼ごはん大丈夫か?」
娘「何食べてんの?」
テ「昨日作ったお鍋の残りー」
娘「アタシもそれ食べる」
おっ、エライぞ。
今まで前日の残りものなど食べなかった娘が。


10月14日(火)
二度寝したら、起きられない起きられない。
ドッと眠たさが襲ってきたようだった。
今日も稽古日。


10月15日(水) きれいな月。
地下鉄に乗ろうと、近所の駅に行ったら、朝の人身事故の影響でまだダイヤが乱れていて、電車が来ない。
ん?
何時の新幹線だったかな?
どうやら間に合わないなぁ。
東京駅に着く。
7分前。
走れば間に合うなぁ。
でもシンドイなぁ。
次のやつで行こうかなぁ。
お腹減ってるし、おそば食べたいし。
うーーん。
と思いながら早足で歩いていたら、指定の新幹線に乗れた。
おそばは食べられなかったがお水と雑誌は買えた。
あー、良かった。
あーー、お腹減った。
浜松のお稽古の日。
浜松暑いぞ。
夏みたいな暑さだ。
けど、やっぱり秋って感じだなぁ。
季節とはおもしろいものだ。
お稽古も無事に終わり、今日は終電より前の新幹線で帰京。
娘が友達の家に寄せてもらっているのだ。
迎えに行かなくては。
僕んちの駅より一つ手前の駅なので帰りがてら迎えに行ける。
娘「あー、眠い」
テ「11時30分だもんなぁ、眠いよな」
娘「うん」
テ「寝て待ってるかと思った」
娘「寝なかったよ。楽しかったし」
テ「なんだったら、お風呂入らなくて寝てもいいぞ」
娘「ううん、よく温まって寝るよ」
テ「大人になったなぁ」
娘「今夜の月もきれいなんだよ」
テ「そうか?」
娘「ホラっ」
テ「おお、丸いなぁ」
娘「さっきは雲がかかってたんだけど、今は晴れてるね」
テ「だけどよぉ、真上にあるってめずらしくない?」
娘「ほんとに真上だね」
テ「首が痛くなるくらいだな」
娘「人がいるとは思えないね」
テ「いやしないよ」
娘「行ったことがあったでしょ」
テ「ああ、そういうことか」
娘「きれいな月だ」
テ「なんだかお前、だんだん大人びてくるなぁ」


10月16日(木)
朝は忙しかったなぁ。
バタバタして、サッと飛び出し地下鉄の駅に行ったら、
また人身事故だって。
よよよ、昨日は新幹線だから、まぁ、なんとか乗り遅れてもいいや、みたいな気持ちはあったけど、今日は飛行機だしなぁ。
なんかバタバタしたくないなぁ。
まぁ、しかし、なんとか間に合った。
ホッとしましたよ、はい。
飛行機で大阪往復したのだけど、往復とも、客室乗務員の人に「マバシ様、いつもありがとうございます」と言われた。
あれって、何?
そりゃ、よく乗ってるけど、まだメンバーでもないのに。
みんな言われるの?
だけど言われないときのが断然多いけどなぁ。
うれしいけど。


10月17日(金)
稽古日。
早々と来月の稽古日も決めてみた。
もう来月11月なんだなぁ。


10月18日(土) 定期検査。
お弟子のTさんとこの病院に行って定期検査を。
少しは慣れたといいながらも血を採られるのが苦手。
先「そんなに緊張しなくても」
テ「はい」
先「どっちの血管がいいかなぁ?」
テ「どっちでもいいです」
先「はははは、そうよね」
テ「早くやってくだしゃい(笑)」
先「はいはい、ちょっと痛いわよ」
テ「はい」
先「大丈夫?」
テ「大丈夫ですから・・・」
先「早くやるのね、はいはい(笑)」
帰宅。
父の乗ってた自転車があって、亡くなった後、僕が乗っていたママチャリ。
チチチャリか。
パンクして乗れなくなっていた。
もう1年くらいほったらかしにしてある。
娘の自転車があるから、なんとなく済んでしまっていた。
パンクを直せば乗れるとは思っていても。
パンクを直すのに自転車屋さんに持っていかなきゃならないじゃない。
歩いて5分くらいのとこなんだけど。
その自転車屋に持っていってやってなかったらイヤだし。
やってるかどうかを確かめに行くのもバカらしい。
そんなこんなで後回しにしていた。
テ「ちょっと、自転車屋さんやってるかどうか、お前の自転車に乗って見てきて」
娘「はーい」
テ「やってたら、俺の自転車を持っていってパンクなおしてもらおーぜ」
娘「うん」
テ「それ食べてからでいいから見てきてね」
娘「はーーい」
娘「パパがアタシの自転車に乗ってみてくればいいんじゃない?」
テ「ん?・・・ま、そりゃ、理屈だな」
テ「おーーい、やってたぞ。自転車持っていくぞ」
娘「はーーい」
娘は自分の自転車に乗って、僕は自分の自転車を引きながら自転車屋さんに向かう。
タイヤも古くなっているので交換となり、預けることになった。
娘「アイス買っていこうよ」
テ「ああいいよ」
そして、娘は自分の自転車に乗り、僕は歩きで家に向かう。
なあんだ、一人で行けば事が済んだんだ。
なんか、一緒に自転車乗って帰ってこられるかと思って娘と一緒に行ったのに。
娘にアイス買ってやっただけじゃん。
と、アイスを食べながら歩いて帰ってきたアタシであった。


10月19日(日)新橋演舞場。
午後4時3分前。
新橋演舞場楽屋口の公園。
今夜、米團治師匠の公演がここである。
伝の会で襲名のお祝いに行こうと邦さんと待ち合わせた時間が午後4時。
楽屋口に来て驚いた。
オバサマたちオジサマたちでものすごい人だかりだ。
道路には大きな車が置いてある。
ん?
出待ちかな。
昼間は誰かの公演をしていたのだな。
この人だかりの中を割って楽屋に入っていくのはどーもなぁ。
と、思っているときに道路を邦さんが渡ってくるのが見えた。
キョロキョロしている。
僕は公園から大きく手を振る。
気がつかない。
もっと手を振る。
オバサマたちが僕の方を注目する。
でも、邦さんは気がつかない。
キョロキョロしている。
・・・どこ見てんだよ。
そして、あろうことか、楽屋口に入っていった。
オイオイ。
さすが邦さんや。
出待ちのオバサンたちの間をすり抜け入って行くんだもの。
僕は公園から大きな声で
テ「邦さん、そこにいて、もう少ししたら僕も行くから」
邦「お、おお」
そしてその時である。
出待ちの人々から歓声と拍手が。
僕のセリフ回しが良かったのかと思ったら、
舟木一夫が(知り合いでないので呼び捨て御免)出てきた。
オバサマオジサマたちの歓声はピークに。
舟木一夫は、軽く手を振ってあっと言う間に車中に消えた。
「会えた会えた」と喜ぶ人々。
興奮気味の人々を「すんません、すんませんね」とかき分けて楽屋口へ。やっと邦さんと会えた。
テ「邦さん、間違えて舟木一夫にご祝儀渡しちゃったんじゃないの」
邦「『おめでとうございます』ってな」
米團冶師匠は相変わらずステキだった。
お兄さんはお兄さんだわ。


10月20日(月)
夕食はおでんで決定。
買出しに。
タマゴと大根はある。
あとは、はんぺん・ちくわぶ・つみれ・すじ・ボール・こんぶ・コンニャクってとこだな。
僕の中のおでんの具ってそんなとこ。
ただ、日本は広い。
さまざまな土地でさまざまなおでんの具に遭遇する。
みなさんいろいろでしょ?


10月21日(火)OROCHI!!と志の輔らくご 21世紀は21日。
朝から稽古。
時間が来たので、迎えに来た鉄七と、稽古が終わったたちのりと、出かける。
た「どこへ行くんですか?」
テ「ていうか、たちのりはどこに行くんだよ?」
た「スクハジです」
テ「あっ、そうか。あいつらのライヴの手伝いか。俺たちは明治神宮よ」
た「一本ですね」
テ「ん?・・・おお、そうか、副都心線で『明治神宮前』か、ひゃはは、一本だ一本だ」
た「アタシはどうしようかなぁ」
テ「『明治神宮前』で千代田線に乗り換えて『乃木坂』ってのは」
た「はい、そうします」
テ「じゃな、気をつけて行けよ」
た「はい」
テ「七、それで俺たち明治神宮のどこへ行くんだっけ?」
七「さぁ?」
テ「チラシ忘れて来ちゃったしな、Wさんに電話しよ」
そこへ向こうから伊十治郎くんが。
テ「はっはは、どこ行くんだっけ」
伊「よろしくお願いします。神宮会館です」
テ「よっし、明治会館ってどこですか?」
七・伊「神宮会館です」
テ「『まっすぐ7100メートル』かぁ」
七「暑いですね」
テ「おお、結構あるな、荷物持ちながらはシンドイな」
伊「もうすぐですよ」
テ「ここは違うのか?」
伊「神宮文化館って書いてますからね」
七「まだ先ですよ」
8日に打ち合わせした『OROCHI!!』の当日である。
僕は出演できないので邦さんと伊十治郎くんに頼んだ。
ただ、邦さんは入り時間の都合でリハーサルが出来ないので、リハーサルは僕と伊十治郎くんとでやっておくことになってるのだ。
テ「着いたぜ」
W「今、オーケストラのリハーサルが終わるとこです。フェンシングの太田さんたちもいらしてますんで、いろいろとやりながらリハーサルします。鉄九郎さん何時にここを出たらいいですか?(今日は21日、志の輔さんの安田の会がある)」
七「先生!」
テ「5時にはねぇ」
W「そうですよね。結構歩くしね」
七「先生っ」
テ「そうそう、あのさ」
W「え?」
テ「タクシー呼べねぇ?」
七「センセッ」
W「ああ、そうですね、大丈夫です。5時に呼んでおきます」
テ「ありがとーー」
七「せんせーっ」
テ「ってか、なんだっつーの」
七「糸巻が折れてます」
テ「ははは、脅かすなってーの」
七「ほんとなの」
テ「むむっ」
七「ほら」
テ「折れてんじゃん」
七「そう言ってます」
テ「うーーん、まぁ、しょうがねぇな」
七「どうします?」
テ「ま、とりあえず七の三味線を作れ、それでリハーサルやるから」
七「はい」
テ「ったく、この三味線を誰が(弟子のうち)しまったんだ?糸巻んとこ上手にしまわないから折れちゃうんだぞーー。うーん、この三味線を最後に使ったのは・・・・・長崎か・・・・・・俺がしまったんだ。うーーむ、犯人は俺かーー。なんとか鉄駒か鉄六の仕業にできないものか。いっそ鉄七の責任にしてしまおうか・・・・うーーん、俺かぁ」
テ「じゃ、伊十治郎くん、そういうことで」
伊「はい」
テ「俺がいなくなって、邦さんが来るまで淋しいだろうけど」
伊「はい」
テ「いろいろとよろしくお願いします」
伊「はい、ありがとうございました」

テ「やっぱタクシーで良かったな」
七「楽ですね」
ヒ「遅くなっちゃった」
テ「ヒロさん、おはようございます」
ヒ「どもどもーー」
談「あー、暑い暑い」
テ「談春さん!」
談「自分で着物のバッグ持ってきたよ。今日前座で出してもらおうと思ってさ」
テ「スゴイな」
志の輔さんの独演会に談春さんの飛び入り。
豪華版な21日の会。
七「先生、折れた糸巻大丈夫なんですか?」
テ「おう、アロンアルファでつけたよ。大丈夫だ、明日、三味線屋さんに送って24日(本公演の当日)の朝、届くことになった」
七「そのまま、今弾いてて大丈夫なんですか?」
テ「ああ、あとは、この糸巻が折れてるんだってことを、俺が忘れることだ。そうすりゃ、普通に弾けるよ」
七「・・・・・」
テ「ま・・・そういうことだ、俺流だけどな。さ、談春さんの『前座の上がり』弾こうっと。よろしくお願しまーーす」


10月22日(水)
ふぁーー、下ざらいまで時間があるからのんびりするか・・・・・
・・・・・違うじゃん。
三味線屋さんに楽器送んなきゃ。
糸巻なおしてもらうんじゃん。
宅急便屋へ走れーーー。
本公演が明後日に迫ってまいりました。
いよいよ、「二つ巴」「吉原雀」の下ざらいです。
やはり、バシッと皆でやっていただくとホッとしますね。
ホッ。


10月23日(木)志の輔らくご 熊本。
まずは明日の本公演の支度を。
車に積んでおけるものはセッセと積む。
ヨッコラセッ。
そして今夜の熊本県立劇場での志の輔独演会のための支度を。
ヨッコラセッと。
ヨッシャー、羽田へーーー。
待ち合わせの場所に事務所のSさんが来ていた。
ダイエットの話で盛り上がる、キャハーー。
そこへ、お弟子さんが師匠が到着したことを告げにきた。
わーーい、シショウーーーー。
志「よぉ」
モワーンとした熊本空港に降り立つ。
雨が上がったばっかりなんだな。
それにしても暖かい。
沖縄育ちのメンソーレ君も暖かいと言っている。
当たり前か、東京に住んでいるんだから。
ま、そういう感じってことで。
ホテル到着。
スタッフはすぐに会場入り。
僕は会場に行くにはまだ早い。
志の輔さんはまだまだ早い。
熊本城の前じゃーん。
行きてーー、熊本城。
と、思いながらササッとコンビニに行っている間に、
熊本城に行くことにした師匠が僕の部屋をノックしていた。
間が悪ーーーーい、オレ!
うーーー、
それでも師匠はやさしい。
一緒にラーメン食べて楽屋入りしよーな
と言ってくれ、おいしいラーメン屋さんをフロントに尋ね、
「ここだ」と言うとこが決まって、僕の部屋をノックしてくれたとき、
僕は会場から呼ばれ、あわててタクシーに乗ったとこだった。
わ゛ーーーーーーーっ、
ぐやじーーーーーっ!!
熊本県立劇場。
来たことがあるなここ。
立派な楽屋。
あらっ、シャワーもトイレもついてるーーー。
泊まれるじゃん。
出囃子を弾くための僕には勿体ないぞーー。
メンソーレ君が元気に高座に上がる。
次に志の輔さん登場。
僕は出囃子を弾き、袖でじっくり拝見。
ま、いつものことなんですがね、だから僕は志の輔さんの右顔をいつも見ている。
とにかく汗びっしょりかいた。
僕が。
笑って。
ゼエゼエするくらい。
楽屋で一休み。
おー、笑った笑った。
着物一度脱ぎたいくらいだ。
まあもう一回出囃子を弾けば脱げるしな。
師匠が楽屋のドアのとこに立ってる。
志「短くやってみるか?」
ウエッッッッ!!
急いで袴をつける、いそいで糸を換える。
イソイソ舞台に行く。
テ「弾き始めたら幕上げてくださーい」
ジャーーン。
また、一人で舞台だー。
えっ?
1200人?
スッゲーなぁぁ。
舞台を降りてくる、調子を変えて師匠の出囃子を弾く。
フーーーー、終わった。
スタッフが、ちょうど10分でしたよ、と。
おーー、10分だったかーー。
よーーし、こんな感じでやると10分なんだーーー。
7~8分だと思ったんだけどなーー。
これで10分なんだーーー。
わかったぞーーー。
身体にタイムが入ってきたぞーーー。
15分・20分ってのはなんとなく身体に入ってきてた。
それより短い時間ってのがなかなかね、わからないんですよ。
でも、今夜のが10分かぁ。
よーーし。
カンパーーイ!
テ「この馬肉ウマイっすよ」
志「おー、ウマイ!!」
テ「熊本サイコー!」


10月24日(金)伝の会 秋の本公演。
テ「ありがとうございました」
志「じゃあな、明日1便なんだろ、気をつけてな」
テ「師匠もがんばってください」
志「明日は雨だなぁ」
テ「おやすみなさい」
志「おやすみ」
6時30分起床。
いっそげーー。
かたづけろーー。
三味線とバッグとカギもって、もう一度部屋を見渡す。
大丈夫だな、忘れ物ないな。
よっしゃーーーー。
フロントでチェックアウトーーー。
外に出ると、昨日師匠にサインをもらった運転手さんが待っていた。
運「あとはどなたが?」
テ「僕だけっす」
運「そうでしたか、では空港まで参ります」
丁寧な運転手さん、空港までの間、いろいろ説明してくれたりして、30分で到着。
なんだか名残り惜しかった。
帰りはJAL。
こう、JALに乗りなれてしまうと、機内に入っただけで帰ってきた気分になれる。
おー、すっかり飛行機人間じゃーん。
さーて、今日も阪神巨人の漫才聞いて勉強しよっと。
ZZZZZZZZZZ-----------
あれっ、ご両人の声を聞いてないぞ。
完璧に熟睡。
羽田到着。
うーー、お腹減った。
だけど急いで帰らなきゃいけねぇしなぁ。
腹減ったーーー。
いつものカレーのにおいがしてくるーー。
だけど食べてる時間はないぞーーー。
ハンバーグカレーは750円なんだーーー。
家帰ってなにか食べるとしよう。
モノレール乗って、JR乗って、地下鉄乗って帰宅ーー。
福神漬けをたっぷり入れてな。
よっしゃーー、食べたら元気になったぜーー。
雨じゃん。
びしょびしょになったぜ。
まぁいい。
とにかく支度だーーーい。
車に積んで出発ーーー。
大雨じゃん。
お客様に申し訳ない。
13時、集合時間ピーーッタリに紀尾井ホール楽屋口に到着ーー。
よっしゃーー。
さーさーさーさー、リハーサルリハーサルーー。
山台高いなーー。
場当たり終了。
今回は唄方に、六ショーゴさん、三(三左衛門)ちゃん、三七郎くん、三美郎くんが来てくれている。
三味線は小島くん、マサキ(忠七郎)、剛二郎くん。
お囃子は左喜三郎兄さんにお願いした。
いやぁ、この仲間でガッツリ演奏すっぞーーー
13時開演。
なんとか大雨にもめげず、お客様は来てくださった。
ありがたいことです。
2時間ぴったりで終演。
素晴らしい。
時計も見ずに、フリートークなのに、
2時間ピッタリ。
さーて夜の部。
19時開演。
しかし、長唄弾いてると気持ちがいいもんですなぁ、
まぁ、本職なんで当たり前だけど。
良か良か。
今回もたくさんのお客様に来ていただきました。
感謝感謝です。
また来年の秋の本公演の構想も出来つつあります。
楽しみなのです。
ともあれ、伝の会の大イベントの本公演が無事に終えられて
ホッといたしました。
ありがとうございました。


10月25日(土)伝の会 新宿編。
昨夜は飲まずに23時ちょいに就寝。
おかげで今朝は元気一杯に目がさめた。
そっかぁ、ライヴで疲れるんではないんだ。
打ち上げで飲みすぎ騒ぎすぎで疲れるんだということに気がついた。
なるほどーーー。
お弟子さんのお稽古をして新宿へ。
ブラックサンのライヴも今回で何回目になるんだろうか?
おもしろい空間で、独自のライヴが出来上がっている。
すっかり早寝になっている僕。
夜になると眠くなり始めたので帰宅。
22時過ぎに就寝。


10月26日(日)
ウエーーイ。
よく寝たと起きたら8時30分。
家族はもう起きている。
考えられない!
日曜の7時台に妻や子が目覚めるなどとは。
すっかり、生活パターンが変わったようだ。
まぁ、結構なことだ。
10時からお稽古開始。
今日は夜遅くまでずーっとお稽古。
途中、お腹減って倒れそうになり、ちょっとの間に
インスタントの韓国ラーメンを作って食べた。
「それ、賞味期限随分過ぎてんだよねー」
と言うカミさんの声を聞きながら。
2日間のライヴのあとに、ドドーーーンと22時まで目一杯のお稽古。
どんなスケジュールやねん。
と言ってみても、自分で決めているのだからしようがない。
休むよりも、お弟子さんとお稽古してるほうがね、良いのです。


10月27日(月)那覇。
さすがに沖縄に旅行に行く人たちは減っただろうと羽田空港へ。
んんん、なんだ?
この若者の大群は!
修学旅行かよっっ!
うーーん。
沖縄というのは、どの季節でもたくさんのお客様なんだなぁ。
今回は一人ライヴがないので、なんだかちょいとのんびりかなぁ。
などと思っていると大間違いなのだ。
来月の伝の会のライヴのためにいろいろとしなければならないことが待っておった。
チケットもがんばって売らないとね、と、あくせくするのである。
もちろんお稽古のためにやってきたのだから、お弟子さんのお稽古をします。
そのほかに、ちょこちょこと色んな人に会ったり取材を受けたりする。
どこへ行ってもそうなんだが、東京にいるときよりもパワフルに動くものだ。
行く先々の土地や人が、動かしてくれるのだなぁ。
ありがたいことである。


10月29日(水)志の輔らくご in 神田古本まつり。
神保町ーーーー。
学生時代にイヤっちゅうほどウロウロし、車を乗るようになってからはしょっちゅう通りかかっている街。
電車で行くのは久しぶりだ。
しかも副都心線から都営新宿線に乗り換えて、なんて、今年からしか出来ない技だ。
鉄六と待ち合わせて東京古書会館へ。
今夜は「志の輔らくご in 神田古本まつり」 なのだーー。
ヨヨヨッ、もう開場を待ってる人たちがいるぞっ!!
今日の会は、友達のM女史があたためてあたためて作り上げてきた会。
僕としても思い入れがある。
正直、実現するのは難しいんじゃないかと思っていたが、M女史の思いとガッツが志の輔師匠を動かした。
そういう思いに賛同する師匠もステキなのだ。
サウンドチェックの後、ちょいと時間があるので「音福」に行こうと外に出た。
音福っていうのは、三味線かとうさんとこの山口さんが独立して作った三味線屋さん。http://www.otofuku.net/original.html
鉄六が教則本のデザインをしたり、鉄駒がここで教室を持たしてもらったりしてるし、とにかく一度行こう行こうと思いながら時が過ぎていたのでした。
いやぁ、夕暮れの神保町もいいねぇ。
靖国通りの向こう側は古書店がズラーッと並んでいる。
「古書まつり」なので提灯がズラーッとあって。
ステキな眺めだ。
プラプラ歩いて音福に着き雑談をし、プラプラと古書会館に帰ってきた。
ちょうど師匠が楽屋入りするというのでスタッフ一同が駐車場で待機している。
良い眺めである。
開演。
中入り後に僕も出演することになっている。
師匠に「ちょっと行ってこーい」と突然言われることに慣れてしまってる私は、最初からやることが決まっている状態に、どこかドキドキしている。
高座に上がって驚いた。
お客様全員がスタッフパスをつけている。
実際には通行証のようなものなんだろ。
ただ、首から赤いヒモでパスを下げている200人を見たら驚くよ。
一瞬、「お客は全員スタッフか?」と思ったもの。
客席は明るく、知った顔がチラホラ見える。
僕の10分間高座は新潟と熊本でしかやったことがないので、東京では初お目見得なのだった。
志の輔師匠の出囃子を弾いてるだけでも、僕の人生にとって大きいことなのに、高座にまで上がってんのかよっ!
なんか、人生おもしろいことになってきたなぁとつくづく思うこのごろである。
あー、楽しかった。
高座下りてきて「中の舞」をマジメに弾き始める。
師匠がそばにいる。
目が合う。
「ったくぅ」ってな顔してにやけた。
僕も照れたのか、恥ずかしかったのかなんなのか、おかしくなっちゃった。
志「ハハハハ」
テ「はははは」
笑っちゃったんで中の舞のノリがよれちゃった。
師匠の高座がおもしろかった。
当たり前だけど。
ずーーっとマクラ。
ははははは。
もう、わたしゃツボにハマっちゃって汗びっしょり。
ジーンとくる話までして、涙ウルウルしてるとこに笑わせる。
泣かしてくれよーーー。
長いマクラがお客様と主催者への賛美だ。
打ち上げでいろいろ話してるうちに酔ってくる師匠。
そりゃそうだよなぁ、NHKの収録のあとに独演会だもんなぁ。
そんな疲れを全く見せない高座だった。
志「もう少ししたら、手締めをしなさい。俺と、このオッサンと鉄六は帰るから、あとはスタッフさんたちの労をねぎらってあげなさい」
と主催者に言う志の輔さん。
今夜も輝いてましたぜ。


10月30日(木)
今月最後の稽古日は終わったんだが、もう一回、今日も稽古をつけてみた。


10月31日(金)10月から11月へ。
あれ?
今日、予定が無い。
つーことは、休み。
「休日」なのだ。
ほほぉ、なにしよっかなぁ?
振り返ってみると、7月8月と忙しくて目がまわり、9月はその勢いで「ここまで忙しくできるんだ」と感心し、10月に入った。
10月は結果的に休める日があったじゃん。
稽古日もちゃんと取れたし、時間の使い方がうまくなってきたのかなぁ?
などと、思っているうちに、
なんとなく終わった一日だった。


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