青?裸々な日常
2008年3月1日?
第149号  べらぶら3と防災館ツアー。


3月1日(土)横浜と君が代。
かながわ伝統芸能 ワークショップVOL.4 「三味線にトライ!」
先月も厚木でやりましたが、今日明日は横浜で行っています。
小学校5年生から中学2年生くらいまでの15人の生徒が、二日間かけて長唄三味線を体験するというものです。
桜木町に着くと良い天気ではありませんかぁ。
さほど寒くもないしー、観覧車にでも乗りたい気分ですねぇ。
ま、邦さんと二人で乗ってる絵は気色の良いものではないでしょうが。

「さくらさくら」が簡単なので教えたりしますね。
ウチのお稽古場でも「さくらさくら」からやります。
その理由は、簡単なことともうひとつ、「知っている曲だ」というのがありますね。
メロディを知っている曲。
実はこれが一番大事なことですね。
長唄って何が難しいのかって、知らない曲だからとも言えますね。
「知っている曲を弾いたことの無い楽器で弾く」っていうのと、さらにもうひとつ違った難しさがありますよね。
楽器か曲かどっちか知ってなきゃシンドイでさぁね。
ということで「さくらさくら」という、耳にある曲を最初に練習するのです。

さぁ、それが昨今ではそうでもなくなってきた。
「さくらさくら」を知らない子どもたちが増えてきた。
教わってないとか耳にしないとか、いろいろ理由はあるにせよ、
僕らの認識の中にある「さくらさくらは誰でも知っている」という事実は崩れ去ろうとしているのです。

今日の15人は全員知っていました。
ホッ。
無事に「さくらさくら」を弾けるところまで行きました。
「さくらさくら」を知らない子どもたちばかりになったら、何からお稽古しようかなぁ?
その時の子どもたちが知っている曲で始めたいとは思うんだけど。
世代を通して共通の歌が無くなってきたといわれている昨今、僕らの世界にもこんな影響を及ぼしているのです。
今夜は「ピーピングてつくろのふしあなから世間」なのでした。

おまけです。
昨夜、娘とこんな会話をしました。
娘「今日さ、音楽の授業でさ、『君が代』を歌ったのね」
テ「おお」
娘「そいでさ、先生がさ、『この曲、初めて聴いた人ーー』って聞いたらさ、5人くらい手ぇあげたんだよー」
テ「おお、そうかもなぁ」
娘「びっくりしちゃったよぉ、国歌だよーー、そうなのかねぇって思っちゃったよーー」
テ「オッサンかっ!」


3月2日(日) 帯。
昨日(1日)、帯を忘れていた。
ご存知のように着物は帯がないとどうしようもない。(あったりまえじゃー)
テ「あらー、風呂敷で結ぶか」
邦「俺、下帯を二本持ってきたから、太い方を使えよ」
テ「ああ、それがいいそれがいい」
アクシデントの解決は大抵、邦さんがやってくれる。
頼もしい方です。


3月3日(月)防災館ツアー。



あ、11時32分だ。
しまった。
11時25分に迎えに来てといわれていたんだ。
タッタッターー
小学校の5年2組に急ぐ。
テ「すんません」
先「あ、はい、Yちゃーん」
娘「ニコッ」
先「はい、じゃあね」
テ「失礼します」
先「気をつけて行ってらっしゃーい」
テ・娘「はーーい」

テ「ははは、悪かったな。気がついたら32分でさ」
娘「せっかく音楽室から走って帰ってきたのに、ひどいなぁ」
テ「行く途中でごはん食べるぞ」

定食屋
娘「ネギトロ丼がいいのに」
テ「ネギトロ定食になっちゃってるな、いいじゃん、お刺身がついてて」
テ「おいっ、ネギトロとかお刺身とか、みんないっちゃったのか!
なんだよー、少しは食べられると思ったのにー」
娘「絶対にあげない」
テ「こらっ、ご飯に醤油をかけるんじゃないっ」
娘「ネギトロをゴハンに乗せてんだよー」
テ「それを食べさせろ」
娘「絶対にあげない!」

錦糸町で集合。
今日は、弟子のたちのりがセッティングした「防災館体験ツアー」なのだ。メンバーは大人5人の子ども1人。
3Dの映画を見た後に、いろいろ体験していく。
僕は消火器を触ったことがない。
こうやって使うのかと初めて知った。
次は暴風雨体験。
小学校5年生までは風速10メートルの暴風雨の体験だそうで、娘と僕はそれを体験。
6年生以上になると30メートルのが体験できるのだそうだ。
この体験でわかったことは、暴風雨のスゴさと、カッパはちゃんと着ると見事に濡れない、素晴らしいってことだ。
そして地震の体験。
これは何度も体験したことがあるけど、怖いですね。
体験だから、「もう終わるな」ってわかるけど、ほんものの地震はいつくるかいつ終わるかわかんないですからね、ほんっと考えると怖い。
今こうしてる間に地震が来たっておかしくないし。
AEDの使い方、AEDを使うまでにしなきゃいけないこと、いろいろ教わりました。
いやいや、防災のことをよーく考えてみた一日でした。

チャンチャン。
テ「楽しかったな」
娘「うん、6年生になったら、もう一度連れてって」
テ「30メートルか」
娘「うん」
テ「体験したいねぇ」
娘「うん」
テ「やっぱり、こう、目の前でやってくれたり教わったりすることが大事だな」
娘「人工呼吸とかでしょ」
テ「な、テレビで見るのとはな」
娘「なんでだろ?」
テ「よくわかるよな」
娘「テレビで見たんじゃ忘れちゃうもん」
テ「これは忘れないね」
娘「『おかしも』は?」
テ「恩着せがましく、金を貸して、しかも、儲けはやらない」
娘「ちがうでしょ!『お』」
テ「押さない」
娘「『か』」
テ「駆けない」
娘「『し』」
テ「喋らない」
娘「『も』」
テ「戻らない」
娘「はい。常識だと思ってたよ」
テ「お前たちは学校でしょっちゅう避難訓練やってるからな、俺たちだって小学校んときに習ったんだけど、忘れちゃってんだよ。お前だって、あと数年したら『えっ?しらなーい』って言うぜ」
娘「フフ」
テ「たちのり姉妹の歩き方、そっくりだったな」
娘「うん」
テ「今日一番感動したな」
娘「そこかよっ!」


3月8日(土)国立劇場。
7日の朝、京都に行って、その日の夜は浜松に行き、
8日の午後東京に帰ってきた。
国立へ行きますよーー。
午後6時に入る予定になっているので、意外にのんびりだなぁ、などとホーケテいたら、あっと言う間に出かける時間になってしまった。
いそげーー、着替えろーーー、三味線忘れるなーーー。
楽屋入りしたら、長唄さん、全員来ていた。
ありゃっ!
なんかバツが悪いぞ。
唄方は里長師、文五郎さん、勝彦くん、アオ(五功次)くん、純(味見)ちゃん、
三味線は我が流派で。
忠五郎師、ワシ、マサル(忠史朗)、和寿三郎くん、直矢くん。
このメンバーで「靭猿」の演奏ですね。
義太夫の津賀寿ねーさんもこの会に出演しているので、会えるかなと思ったのですが、どうやら俺の来るのが遅かったみたいだ。
終演後、家元から「食事に行こうぜ」と言われていた。
家元(忠五郎師)夫妻、マサル夫妻、和寿三郎くんらと、お供に来た鉄六まで連れてってもらう。
いつものことだが、なんだか飲みすぎた。
家元が親で僕らが子ども。
家族っていいなぁと思った晩でありました。


3月9日(日)掛川→浜松。
ウイーッ、二日酔いではないけれど、睡眠不足と一緒になって、なんかフラフラするーっ。
よっこらしょっと、朝の新幹線に乗って静岡で乗り換えて、掛川に到着ーーー。
ただいま9時半。
タクシータクシー
テ「シオーネ?」
運「ああ、文化会館ですね」
テ「あ、そうそう、大東町シオーネ」
運「はいはい、掛川文化会館ですな」
そうです、以前は大東町シオーネと言ったと思うのです。
3回シリーズの一回目ですね。

無事に終演して、僕は観に来てくれた浜松のお弟子さんたちとともに浜松へ向かいます。
テ「お腹へったーーーー」
弟1「はいはい、お師匠さんがお腹すいたって言ってるわよー」
弟2「なにが食べたいんですか?」
テ「温かいもの」
弟3「なんでも好きなものを食べて帰りましょう」
弟2「何がいいんですか?」
テ「うーーん」
弟1「決まんないわよ」
弟2「高速のおそばでしょ」
弟1「それはヤダ」
テ「ああ、SAのおそばいいねぇ」
弟2「やでしょー」
弟1「そうよ、ああいうものをお師匠さんに食べさせたくはないわよねぇ」
テ「いやいや、あれが大好きで・・」
弟3「あたしたちは嫌よねぇ」
弟1「来るときにね、あたしたち、おいしーーーいものを食べてきたの」
弟2「あそこおいしかったわよねー」
弟3「なかなかねぇ」
テ「あの、さっきの話よりは、今お腹減ってるんですが」
弟1「おそばでしょ」
テ「あ、おそばがいいです」
結局皆様のお気に入りのおそば屋さんに連れて行ってもらい、たらふく食べました、とさ。
あーー、くるしーーー。



3月13日(木)
私は意外に粗食なのです。
やれラーメンだ、そばだと言っておりますが、
家で食べるときなんざ、納豆でよござんす。
朝食でないですよ、夜ですよ。
納豆とご飯。
これだけでいいくらい。
おいしい納豆とおいしいお米が一番ですな。
今夜はカブがありました。
娘が作ったんだそうで。
えっ?
どうやって?
ま、学校の授業であったんでしょーな。

それに、もうひとつ、七味家の七味があれば言うこと無し。
いろんな七味を通ってきましたが、なんのことはない、七味家の七味で納得でした。
京都の清水さんのとこのね。
「しみずさん」じゃないですよ、清水寺ね。
京都駅で買えちゃう。

こないだ、志の輔さんと京都駅から帰るとき、
志の輔さんが「お土産見てこうか」とおっしゃる。
あたしゃ耳を疑った。
志の輔師匠が「お土産見てこうか」っていうセリフを言うとは。私の知ってる志の輔さんの中には無いのです。
なんてかわいらしいーーー。
志「お土産見てこうか」
テ「おおっ、行きますか!はいはい」
ちょうど七味家の七味を買おうと思っていたので、
テ「これこれ」
とか言いながらホクホクしていたら、ぬーっといらして、
志「七味かぁ、ああ、前にもらったやつだねぇ」
と、なんだか妙にやさしい声でおっしゃった。
どうした?師匠!
以前差し上げたのは、ここの七味ではなかったんですが、僕から七味をもらったことを覚えていたなんて!
あたしゃ、その場で泣き崩れてしまおうかと思いました。
もうこのときには「文化庁芸術選奨 文部科学大臣賞」の受賞が内定していた時期。
鉄九郎にもやさしく話してやろーかと思ったのでしょーか?
ま、とにかく七味家の七味が大好きで、持ち歩きたいほどなのです。
いや、持ち歩くのをいつも忘れているのです。
外食の時にいつも悔しい思いをしているのです。


3月14日(金)京都→浜松。
京都です。
いつも、お稽古場でおうどんをいただきます。
今日は悩みに悩んだ末、「あげカレーうどん」。
カレーを揚げてあるのではないです。(わかっとるわい)
おあげさんが入ってるのね。
夜は浜松と大阪のスタッフとともに打ち合わせを、食事しながら。(豪勢やな)
いやいや、稽古のあとのビールはうまい。
私は、お刺身が大好物なのです。
尚且つ、「まぐろごはん」なんてーものがあったら絶対に注文します。
無事に打ち合わせも終わり、私は浜松に向かったのであります。


3月15日(土)伝の会 豊田編。
昨日とは打って変わって良い天気。
花粉がジャンジャン飛んでそうな浜松です。
マスクマスクマスクーー。
あわててマスクしますがね、こっちの人はあんまりしてませんね、見かけませんもの。
土曜日の朝。
ゴルフバッグをえっちらおっちら抱えてね、練習場に行きます。
はい、散歩か練習場か。
とにかく身体を動かさなきゃいけない。
ゴロゴロしたって動いたって、どっちにしても夕方まで時間がある。
ならば動いてみましょうや、というやつで。
エエーーイ、重いナァァ、ヨッコラショっと。
あれ、この練習場、以前来た時とガラッと変わってきれいになってらぁ。
以前は、怖そうなオジサンが一人、ぶっきらぼーに受付に立っていたのに。
この度はグリーンのポロシャツを着たお嬢さんが二人、フロントで笑顔を振りまいてますな。
アレッ、場所が違ったのか?
そんなわきゃあねーなぁ。
ここっきゃ知らないんだから。
ハハーン、建て直したんかぁ。
まぁ、きれいになった練習場で過ごし、事務所に戻り、ちょいと仕事をして豊田に向けて出発です。
楽屋で三味線つないでいると、邦さん登場。
午後遅い新幹線でやってきた。
満員のお客様。
うれしいですね。
一曲弾いたら、ここでやった一年半前のことをいろいろ思い出しました。
ここは、実に音が良い。
聴いてても弾いてても。
こりゃあいいですね。
調子が良いです。
弾いてしゃべってしゃべって弾いて。
あっと言う間の90分。
ありがとうございました。


3月16日(日)



目覚ましがなる。
5時30分。
ウィーー。
ここはどこだ?
豊田のホテルだ。
まだ真っ暗だぞー。
そっか、東京に帰るんだ。
5時50分、フロントに降りて行く。
荷物が重い。
ガラガラゴロゴロ。
邦さんたちと迎えの車に乗り、名古屋駅へ。
高速を走っているうちに明るくなってきた。
朝焼けだ。
ボーッとしていると夕焼けに見える。
新幹線ホーム。
「結構寒いな」と邦さんが言う。
見れば二枚くらいしか着ていない。
随分とお気軽な格好で来たもんだ。
「また後でな」
と言って東京駅で別れた。
9時すぎに自宅に着く。
ここんとこ数日、娘が風邪なんだか高熱を出していた。
昨日やっとおさまったらしい。
やつれた娘が微笑んだ。
ああ、ただいま。
稽古場の支度をする。
今日は28日の「べらぼうにぶらぼう3」の中の「さくら劇場」のリハーサルを行う。
きれいに掃除して、宇太がボーッと庭を眺めていたら、
邦さん、喬太郎さんがやってきた。
大体のストーリーに、みんなで肉付けをしていく。
三人で話すとドンドンアイデアが出てくる。
三人の人物像が固まっていく。
三人とも小ネタに走ってしまう傾向があるが、まあまあなんとかまとまってきた。
三人それぞれの理屈で、おかしいところをツメていく。
僕は、意外にインパクトに重点を置いていることに気がついた。
こうやって作っていく作業はとてもおもしろい。


3月17日(月)那覇。
一泊でいろんなところに行くときには、旅行パックを使うことにしています。
なんたって安いから。
飛行機でのパックってのがとにかくいいですね、安いですよね。
この三年、いろんなとこに行ってみてわかりましたわ。
で、那覇なんですがね。
もちろんパックで取っているのですね。
でね、朝早い飛行機の方が若干安いんですね。
つまりね、ちょっと早起きをしましたね。
学校が休みになりましたか。
飛行機の中は、高校生とか大学生とかでいっぱいですわ。
もう、乗った瞬間にパシャパシャ写真撮るは、ビデオまわすは、携帯メール打つは。
もうそこまで行くと「行儀が悪い」っていう段階を過ぎて、「なんて無邪気な」と微笑んでしまいました。
さぞかし、おしゃべりなんかでうるさいんだろうなぁ、こりゃ寝られないんだろうなぁ、と覚悟しましたが、離陸後すぐに熟睡いたしましたね。
気がついたら、着陸態勢です。
結構結構。
沖縄に着いた途端、時間がゆっくり動いていると感じるのはいつものことですな。
湿気てるから静電気が無い。
花粉も飛んでない。
身体にやさしいですね。


3月18日(火)
チェックアウトして外に出る。
咳はまだ出る。
なんで急にいがらっぽくなったんだろ。
東京に戻っても咳が出ていたら風邪かもなぁ。
空港に着いたらものすごい雨がふってきた。
上空に雷雲があるとかで、搭乗を見合わせていると言う。
ああ、なるほど、すげぇ雨だ。
いつ、ゴロゴローって来ても不思議はないやな。
自分の乗る飛行機がビショビショにやられている。
今、この写真撮っても白黒にしきゃ写らないだろうなぁ。
ボーっとしてたら、案内のお姉さんが呼びに来た。
あいよ。
乗りやしょうよ。
へぃ、でぇじょぶです。
命ぃ、お預けしてますんで。
はははは、物騒なことですかぃ。
いやいや、こんくれぇの雨ァ、なんてことぁねぇでしょうよ。
まぁ、どっちにしたって、こっちは命を預けるほうで。
そちらがなんとかして飛んでくれるのを、居眠りしながら待ってることくれぇしかできやせんよ。
へぇ、乗りやすよ。
おっ、もう、アタシで最後なんすか。
ほんとに?
随分と、ガラッとして。
そう、みなさん乗ってらっしゃる。
乗ってらっしゃってこの人数。
え?あ、はい。
そいじゃあ、スポーツ紙を、はい。
いや、そんなに持って来てくんなくても、一紙でいいんですがね。
え?
そうすか、んじゃ、これとこれとそれといただきますわ。
へぇ、スポーツ紙を三つねぇ。
それぞれトップ記事が違うんだねぇ。
え?離陸?
はいはい、どうぞどうぞ、ははは、こっちがスポーツ紙の表紙で驚いてる間に離陸の準備かぁ。
頭が違いすぎるね、どーも。
笑っちゃうよ、手前ェがなさけなくなるねぇ。
はいはい、どーぞ。
ドッカーンと飛んでくださいよ、こちとらいつでも結構でござんすよ。
えっとどれから読むかなぁ。
え?
ああ、よく寝ましたよ。
実はね、まだ寝てたいんですよ、ははは。
いやいや、大丈夫大丈夫。
じゃあね、うーーん、スープをね、熱いとこをひとつグーッと。
あ、いや、コーヒーにしましょ、ええ、砂糖は要りますので。
客室乗務員さんも目が届くねぇ、しかし。
これっきゃ乗ってないんだからなぁ。
ドリンクサービスもあっと言う間に終わっちゃうんだろうなぁ。
ちょいと、目が覚めかけたとこへ「良かったら御飲みものは?」
って言われちゃったよぉ。
きっと見てたんだな。
あのやろ、そろそろ目が覚める頃だから、目を開けた瞬間に聞いてやろって、はははは、そんな暇じゃねぇか。
ああ、ありがと。
え?
ああ、飴を。
ありがと。
咳が出てるから、うん、そうなんですよ。
なんだろね。
そうですか、それで飴を持ってきてくれたんですか、いやいやありがと。
あの人はいい人だぞ。
さっき、ヤなこと思っちゃったな。
目ェ開けた瞬間になんてな、いやいや悪かった悪かった。
きっとな、育ちの良い人なんだな。

無事に羽田に着き、夕方前には自宅に到着。
二階のソファで娘が熟睡している。
そばにランドセルがころがってる。
お、今日は学校に行ったんだな。
してみると風邪の方はよくなってきたか。
テ「おい」
娘「ああ」
テ「ああ、じゃねぇやな」
娘「お帰り」
テ「おお、ただいま」
娘「このあとは?」
テ「これから稽古だ、ずっといるよ」
娘「なら、良し」
テ「なんでぃ、ま、いいや、寝てろ」
娘「うん」
稽古場に戻る。
ゴホゴホ。
あれっ、東京戻っても咳が出るなぁ。
うーーん、こりゃどうやら娘の風邪がうつったのかなぁ。


3月19日(水)
自宅の稽古の他に、いろんなとこに出稽古に行くようになりましたが、
一番古い出稽古が獅童くん、あ、いや、獅童さんとこの出稽古。
まだ、獅童くんが、あ、いや、獅童丈が10歳だか11歳だった。
ま、それからずーっと行ってたわけではないけど、それでもかなり古くからのお付き合いですね。
ここ数年、獅童サマご本人は、忙しくて稽古は出来ないのですがね、相変わらず獅童事務所での稽古は続いているのです。
でね、今年に入って、1月は、にっちもさっちもいかなくて、お稽古お休みしたんですわ。
ま、獅童事務所も浅草歌舞伎でテンヤワンヤですからね。
でね、2月になったら行こうとは思ってたんですがね。
・・・・・・忘・・
いや、忘れちゃってたってわけではないのですがね、えへへ。


3月20日(木)熱海。
雨じゃん。
お彼岸じゃん。
お参りに行かず、東京駅に向かいました。
お弟子さんのT夫妻が初島に連れてってくれるというので、いそいそと向かいました。
東京駅で集合してお弁当買って、いざ新幹線に乗るぞと言うときに、初島より電話がかかってきたようです。
なんでも、雷雨で初島に渡る船が欠航しているとのこと。
ん。
船がだめならタクシーで行こうよ。
ん。
ダメでしょう。
バスは?電車は?
ダメでしょう。
このとき初めて知りました。
船で渡らなければ行けない島というのは、船が欠航してしまうと行けないんだということを。(子どもでも知ってるわーーー)
どうする?
私は仕切ってないので、いわば、ぶら下がってるだけなので、なーんも考えなくて良いのです。T夫妻にお任せおまかせーーーー。
とにかく熱海まで行こうじゃないかいということで新幹線に乗り込みます。
僕は新幹線の中でお弁当を食べる習慣がないのですが、旅行者の方々というのは「必ず食べねばいかんのだ」と思っているのか、T夫妻もウチの家族もさっさとお弁当を広げようとしています。
あーたさぁ、熱海まで45分だぜっ、たったの!
2時間3時間乗るんならともかく45分の間に食べなくてもなぁ。
妻などは、早くビール売りにこないかと首を長くしている(ま、結局熱海までビールを売りに来なかったので妻は何も食べなかったが)。
だから45分だって!
言っても聞かない連中なので、僕も広げることにしました。(買ってんのかい!)
ジャーーーン。
僕の大好物ーーーー。
崎陽軒のシューマイなのらーーー。
シュウマイ弁当じゃないのよ。
シューマイなの。
シューマイ弁当はさ、シューマイのほかに、お魚とかいろいろ入ってんですよ。
僕はね、シューマイとごはんが食べたいの。
冷たくてもウマイのだ。
冷たいものがキライな私が、これだけは大好き。
しかもあんまり好きすぎて、あまり買ったことがない。(え?)
もったいなくて。(どーゆーこと?)
隣で、カツサンドを食べている娘
テ「これいってみる?」
娘「ううん」
テ「サイコーだよ」
娘「カツサンド食べてるもん」
テ「こっちはシューマイだよ」
娘「うん、わかってるけどさ」
テ「両方ともカタカナじゃん」
娘「食べる」
テ「ん?」
娘「パパがそんなに推すんなら食べるよ」
テ「だろ。ホレっ」
娘「モグモグ」
テ「ん?サイコーだろ」
娘「サイコー!」
テ「な、カラシをつけるともっとおいしい」
娘「カラシつけたとこをちょうだい」
テ「辛いぞ」
娘「少しつけて」
テ「どうだ?」
娘「カラシつけるべきだね、ウマイ」
テ「はっははははー、だろ!だと思ったよーーー。血が繋がってんだ、俺がウマイと思うものをお前がイヤなわけがない、あっはははは。でも崎陽軒のシューマイは贅沢品だからな。そうしょっちゅうしょっちゅう食べられるものではないよ」
娘「え?カツサンドより安かったじゃない」
テ「値段じゃないのだ。なんつーのかなー、そのぅ、滅多に食べられない希少なさ、」
娘「起きるの?」
テ「そりゃ起床だろ!」
熱海駅に着くと結構な豪雨。
やっぱり船がでる可能性はないということで、T夫妻が動き出した。
結局、熱海で一泊しようということになった。
結構結構。
はーーい、チェックイーーーン。
おお、部屋のまん前が海だぞーー。
ドドーーンドドーーンとスゴイ波だ。
テレビの音も消してしまうくらいに聞える。
ジッとしていると部屋が揺れることに気がつく。
ま、温泉でも入ってのんびりしましょ。
夕方、ご飯食べに行く頃、
空が青くて、海が緑。
こりゃ、欠航だわなと改めて思った次第でした。
さ、さ、もう一度温泉入って早く寝よっと。
これがほんとの休暇じゃーーーー。


3月21日(金)熱海。
昨日のドドーンとか、寝るときまで聞えていたザザーーンっていう音が、聞えない朝がやってきた。
おおおお、きれいな海だーー
おだやかな海だなぁ。
今日なら渡れるなぁ、初島に。
そういえば、昨日朝から船が欠航してたってことは、昨日帰らなきゃいけなかった人たちは帰れなかったんだなぁ。
困ったろうになぁ。
みんなで朝食を食べ終わったところで、私は一人、お先に東京に戻るのでありました。
なにせ、今日はお稽古日ですからね。
えっさかほっさか、フロントに行って
テ「タクシーよんどくれーい」
フ「はーい。・・・あ、お客さま、どちらに行かれます?」
テ「どちらもこちらもないやなぁ、駅よ。熱海っつーの、熱海駅でござんすよ」
フ「おっほ、そりゃいいところに来なすったねぇ、お客様。ちょうどあっちらの宿の送迎バスってのが出るところでさぁね」
テ「おおおっ、送迎バスってのがあんのかい、へぇ、つまりここから駅までマイクロバスみたいのに乗り合いで行くっちゅうやつやね、送ったり迎えたり」
フ「へぇ、ですから送迎バスなんでさぁ」
テ「あ、そりゃあそうだ。あっはっはははーー」
フ「おかしくありませんよ」
テ「・・・・」
フ「さ、さ、お客様、とにかく送迎バスに乗っておくんなさいな。もうすぐ出発でーーーす」
テ「あいよーーー」
いやいや、タクシー代儲けちゃったなーーー。
あっと言う間に熱海駅。
こだまに飛び乗れーーー。
そして寝てしまえーーーー。
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
ん?
どこ?
なに?
おおお、東京駅に着いとるやないかーーー。
いっ、いっつの間に。
怖いねぇ。
乗ったことは覚えているけど、寝たことは覚えてないぞーー。
そんなに熟睡するもんかねぇ、怖いねぇ、おそるべし45分間だねぇ。
さーて、帰ってきたぞーー。
稽古だ稽古だーー。
鉄六が来て
六「これ、おっ師匠さんに渡してくださいってKさんから」
テ「ぬぬ」
六「沖縄の塩ですよ」
おお、塩だ。
紅塩。
な、なんということだ。
わたしはビックリした。
なんでビックリしたかと言うとですね、
僕も18日に沖縄に行った時に、塩を買ってきたのです、携帯用の。
そのメーカーと同じメーカーなの。
ビックリですよ。
だって山ほどあるよ、塩のメーカー。
それが、どっちも「あっちゃんの塩」って言う塩でしょ。
偶然に同じ日に、西麻布と那覇で同じメーカーの塩買ったのよ。
僕のために。
いやいや驚いた。
え?
なにっ、伽羅!
伽「ご主人の本名が『アッチャン』だから、珍しくて買ってくれたんでしょ。
ご主人だって、自分の名前だから買ったんでしょ。
そんなに驚くほどのこともないんじゃないの、フンっ!」
な、なんだと!!


3月23日(日)チャーリー。
昨日から長唄の頭になっている。
「傾城」タテ
「船弁慶」ワキ
「橋弁慶」上調子
「傾城」と「船弁慶」は4月5日の松永会の曲。
「橋弁慶」は3月25日の温知会の曲。
スッと浚えばいいものを片付けをしないと稽古に入れないという、なんとも情けない性格なもので、曲を勉強する度に部屋が片付く。
ま、すぐ散らかるけどしゃ。
昨夜の9時すぎくらいからやっと長唄の頭になった。
へんなの。
長唄の人なのに、長唄の頭になると、なんとも懐かしい感覚になる。
ああ、そうだったそうだったという気になる。
一生懸命長唄を覚えていた頃に戻る。
戻るってヘンだよな。
ずーーっと長唄の人なのに。
戻っちゃいけませんよ、継続してなくては。
そこんとこがよくわかんない。
ただ、昨夜と今日と長唄の頭になったことがなんとも心地よい。
家元んとこに行って来た。
「傾城」の稽古をつけてもらいに。
ああそうだそうだと言うことを言われる。
ホッとする。
基本基本って思う。
お風呂入ったみたいにスーッとする。
忠七郎くんが来て、家元と三人で「船弁慶」の稽古をする。
忠七郎くんは、今回「船弁慶」の上調子を初めて弾く。
彼が言うには
20日前から自主練習に入ったが4~5日間、まったくメロディが頭に入らなかったそうだ。
もうこのまま覚えられないんじゃないかと、ものすごく不安になったそうだ。
そしたら5日目の晩からスーッと覚えられるようになったって。
そうなの、継続なの。
不思議なの。
「覚えられない覚えられない覚えられなーーーい、で、突然覚えられる」
なんだろこれ。
そういうもんなんですね。
その話を聞いて、今の僕にその根性がなくなってきていることに気がついた。
僕の場合、
「覚えられない覚えられない覚えられなーーーい、ええーい、当日なんとかなるっしょ!」
という思考回路が身についちゃってる。
そりゃあ、なんとかなるよ。
なんともなんなかったら、とっくにこの世界をクビになってるよ。
そりゃあ、なんとかなりますけどね。
なんとかなるってわかっちゃってるから努力しなくなっちゃってんですな。
そこがマズイ。
なんともマズイ。
忠七郎くんの話を聞いて、襟を正した。
人間、地道な努力あるのみ。
「曲を浚うのは片付けしてから」
なんて片付けに逃避してる場合じゃないぞーーー、しっかりしろーーーー。
忠七郎くんは歌舞伎で弾いてる人なんです。
松竹に所属している長唄さんなんです。
今月も歌舞伎座で仕事しています。
毎日仕事しながら必死になって覚えたのです。
そりゃあ、商売だから、覚えるの当たり前だけどね。
覚えなきゃ始まらないんだけどね。
でもね、この年で初役って大変なのよ。
長唄って長いでしょ。
新規に覚えるって大変なことなの。
忠七郎くん、立派だと思いました。
覚えたことがじゃないです。
必死に努力したってことが。
覚えられない4~5日間は眠れなかったって、怖くて、恐怖で。
で、覚えだしてからは、寝るときに頭の中で浚っちゃって、つまづいちゃって起きて譜面見て、またベッドに入って頭の中で浚って、またつまづいて起きて・・・・、やっぱり眠れなかったって。
うーーー、よしよしがんばったなぁお前。
忠七郎くんは、僕の後輩にあたります。
僕のすぐ下の忠史朗くんが、家元の内弟子を卒業して少したったらやってきました。
しかも鹿児島から。
本名は浅草くんと言います。
鹿児島の浅草なのです。
なんだかわかんない。
年は僕よりちょいと上なのです。
でも後輩なので呼び捨てしますよね。
それがちと苦手でね。
年上を呼び捨てするわけにいかないっしょ。
でも「浅草さん」じゃ、他に示しがつかないしね。
それで考えたのです。
愛称をつけちゃおうと。
パッとうかんだのが「チャーリー」。
あはははは、なんで外人なんだって。
でもうかんじゃったものはしょうがない。
鹿児島の浅草さんは、すぐに皆からチャーリーと呼ばれるようになりました。
数年して忠七郎って芸名がついたってチャーリー、あははは。
家元もチャーリーって呼んだりしますからね。
家元はいいでしょ「浅草ー」だって「忠七郎ーーー」だってね。
あははは、なのに「チャーリー」って呼んだりしてます。
そこがウチの家元の可愛いところ。
家元の稽古が終わり、外に出ました。
テ「歌舞伎座帰るんでしょ」(彼は歌舞伎座の仕事の合間にやってきた)
チ「帰りますよ、まだ早いんですよ」
テ「早くても帰れよ(笑)」
チ「あ、あそこ行ったことありますか?」
テ「あそこじゃわかんないでしょー、いくら兄弟弟子でも」
チ「せんぱーーい」
テ「それはいいから、あそこってどこ」
チ「ホラ、赤坂に出来たじゃないですか」
テ「あっっっっ」
チ「びっくりした、相変わらず、デカイですねぇ、態度と声が(笑)」
テ「うまいこと言うなぁ」
チ「思い出しました?」
テ「うん、だって今朝サンジャポで見たもん」
チ「シャボン?」
テ「いいよ、君にはわからないことだよ。赤坂なんとかいうとこだろ」
チ「そうそう」
テ「行くもなにも、そこ通らなきゃ帰れないじゃん」
家元んちは赤坂6丁目にあるのです
チ「ちょっと行きましょうよ」
テ「行こうか」
チ「なんて言うんでしたっけ?」
テ「『赤坂さかさかー』とかじゃないか」
チ「そんなんでしたっけ?」
テ「『あかさかかさかあさ』かな?」
チ「そんなに坂はないでしょ」
テ「・・・いいんだよ。そんな名前だってきっと。なんなら『赤坂桜島』ってのにしよーか?」
チ「桜島って名前じゃなかったよーな気がするなー」
テ「あっっったりまえだよっっ!なんで赤坂に桜島がくんだよ!」
チ「テンション高いっすねー」
テ「お前に上げさせられてんだよっ!」
チ「人が見てますよ」
テ「・・・・(小声で)お前へのサービスとして桜島って入れてあげたんだよ」
チ「妹の家がね」
テ「・・・・え?なに?急に」
チ「妹の家にね、泊めてもらったんですよ」
テ「やな兄ちゃんだなぁ、そんなに困ってんのか」
チ「そうじゃなくって、僕先月、田舎に帰ってたでしょ」
テ「ああ、そうだったな、それで妹んちに行ったのか」
チ「そうなんですよーー」
テ「・・・・」
チ「・・・・・」
テ「おいっ!」
チ「はい?」
テ「『はい?』っじゃないよ、続きは」
チ「なんのですか?」
テ「妹んとこに泊めてもらったんだろ」
チ「あ、そうそう、よく知ってますねぇ」
テ「お前が言ったんだろーーー!」
チ「僕喋りましたか?」
テ「喋ったよ、しっかりしろよ、ポーッとすると東京に飲み込まれるぞっ!それでどうしたんだよ」
チ「すっかり飲み込まれちゃったんだなぁ、この大都会に」
テ「なにエツにいってんだよ!」
チ「何を言おうとして・た・の・か・なぁ?」
テ「ぼのぼのかっ!!」
チ「なんです?」
テ「ぼのぼのっていうマンガがあってさぁ・・・・いや、いいよどうせ知らないだろーから」
チ「あ、そうだ思い出した」
テ「そうだよ、思い出してくれよーー、ヤバイよ。船弁慶も忘れちゃうよーー」
チ「それは言わないでくださいよーー」
テ「赤坂サカスじゃねぇか」
チ「なにがです?」
テ「いや、いい。とにかくチャーリーはチャーリーが言おうとしたことだけ喋ってくれ」
チ「こないだ田舎に・・」
テ「帰ったときに妹の家に泊まったんだろ?」
チ「それで、妹の家の玄関から」
テ「おぅ、どした?」
チ「桜島が見えるんですよーーー」
テ「さくらじま」
チ「いいですよーー、桜島。でっかくてねー、ずしっとしててね」
テ「・・・あ、桜島ね、赤坂桜島ってとこに反応してたんだね、そっか」
チ「動きませんからね、ずしっとして」
テ「動いたら困るだろ」
チ「あははは、そりゃそうだぁ」
テ「なんだって動かれたんじゃ困るんだよ」
チ「ははははは、しかしいいなぁ、桜島は」
テ「あっちに暮らせばいいじゃないか」
チ「そりゃあ、不便でしょ!」
テ「そりゃあ、不便だよ!だけど桜島がいいんだったら、なにも東京にいなくたって鹿児島に住めばいいじゃん」
チ「仕事どうするんですか?」
テ「だけど、桜島がいいんだろ」
チ「テツクロさんは単刀直入だからなぁ」
テ「なに言ってんのよ。ま、ストレートだけどさ」
チ「すっごい人ですねぇ。赤坂サカス」
テ「知ってんじゃねーかよ!しかし、どこもかしこも並んでるな」
チ「迷子になるわ」
テ「ならないだろ!むかーーしから知ってる土地だろ。内弟子してたころの庭みたいなとこじゃん」
チ「だってこう変わっちゃうと」
テ「変わったってなんだってよ、右行きゃ一つ木通りじゃん」
チ「もっと奥まで行ってみます?」
テ「もうやめようや、どっかでお茶でも飲もうぜ」
チ「なんか食べます?」
テ「お腹減ってないんだけどなぁ」
チ「・・・・」
テ「そういう顔をすんなよ!ああいいよ、時間がたっぷりあんだっけな。なんか食べよう」
チ「ごちそうさまでーす」
テ「はいはい」
とにかく少しのんびりしている男なんですが、愛すべき男であります。


3月24日(月)
さむっ!
あめっ!
おいおい、風邪をぶりかえしちゃいそーだなぁ。
昨日の日記の続きみたいですけどね、
テ「橋弁慶の上調子の譜を持ってないことに気がついてさぁ」
チ「えっ!譜無しでどうやって覚えるんですか?」
テ「いや、音聴いて覚えてるさ、前も弾いたことあるし、覚えてるよ」
チ「僕、譜持ってると思うなぁ、鉄九郎さんからもらったんですよ」
テ「あげてないよーーー」
チ「和佐次朗さんが書いたって譜」
テ「なんかの間違いだよーー」
チ「家帰って調べてみますよ」
テ「いいよ、あったってしょうがないじゃん。明後日弾くんだぜ」
なんて会話を昨日していたことをすっかり忘れていた僕は、今朝チャーリーから電話があったときにはなんだろと思ったのです。
チ「ありましたよ、橋弁慶」
テ「なに弁慶?」
チ「船じゃなくて橋ですよ。譜面があったんですよ」
テ「・・・・え!あった?」
チ「はい、やっぱりもらってたんですよぉ」
テ「俺んとこにはないぞーー」
チ「なくしちゃったんじゃないですか?」
テ「そんなわけないだろ、師匠が書いた譜を」
チ「だって僕んとこにはありますよ」
テ「あっ!お前!俺んとこのオリジナルを持っていったんだろ!」
チ「ああ、これがオリジナルかぁ・・・・って、そんなことするわけないでしょ!」
テ「ふーーん」
チ「どうします?」
テ「どうするったって、別に譜がなくたって・・」
チ「いらないんですか」
テ「いや・・・いらないって言えないだろ。せっかく見つけてくれたんだから狭い家の中から」
チ「大きなお世話ですよ」
テ「もう覚えてるもの」
チ「じゃいらないですか?」
テ「いや、そうあっさりと言われちゃうとなぁ」
チ「でも渡す間がありませんよね、明日弾くんだし」
テ「持って来てくれよ」
チ「え?」
テ「俺んちまで届けてくれって」
チ「鉄九郎さんちまでですか。はい、2時には歌舞伎座出られますから・・・」
テ「おいおい、嘘だよーーー。ちょっと意地悪言ってみただけだよーー。うそうそ、僕が歌舞伎座まで取りにいきます」
チ「持っていってもいいですよ」
テ「んもーー、なんか、そんな、人の良さを強調されると、俺がよっぽどひねくれてるみたいじゃーーん」
チ「いや、昔からそんな人でしょ」
テ「コラコラコラーー」
チ「FAXしましょうか?」
テ「おっ、今、英語でしゃべったな。生意気だーー、カタカナで言えーー、ファックスと」
チ「FAXはFAXでしょ」
テ「出来るのか?」
チ「一応、FAX持ってますから」
テ「ほんとか?」
チ「はい」
テ「・・・うにゃーー、送ってくだしゃーーーい」
チ「はい、わかりました」
ファックスが始動すると宇太さんがどこからともなく稽古場に飛んでくる。とにかくファックスが好きというか、気になるのでしょう。
「ファックスガキテマスヨ」と言ってるみたいだ。
テ「ありがと」
チ「ちゃんと届いてますか?細かく見てくださいよ。5枚ありますから」
テ「あ、はい、ちゃんと読めます」
チ「5枚ありますか?」
テ「あ、はい、ちゃんとあります」
バカに丁寧なお方だ。
なんかスゴク助かった感じ。。。

午後には獅童事務所の稽古に行き、
夜は娘と電車で渋谷へ。
8時に美容院を予約してある。
なんだか、こんな時間に娘と二人で電車に乗るってのもなぁ、妙なものだ。相変わらず娘はよく喋る。
娘「ねぇ」
テ「ん」
娘「人間ってどう思う?」
テ「なんだ?」
娘「なんかさ、どう思う?」
テ「わかんねーよ」
娘「欲深いとかさ」
テ「あー、欲深いな、間違いない。『欲』と書いて『人』と読むってな」
娘「言わないでしょ」
テ「うん言わない。でも言ってもいいくらいだ」
娘「そうなんだ」
テ「うん」
娘「一口食べてさ、おいしーーーって思うじゃない。それで食べてるうちにさ、ちょっと塩気が欲しいなとかさ、欲深いよね」
テ「ははははは、思う思う。そっかーー、それも欲だなぁ」
娘「欲深いよね」
テ「ははははは、スゴイとこ持ってきたねぇ、お前」
娘は春らしくバッサリ髪を切り、僕は二ヶ月前の長さの髪になり終了。
お腹がペコペコだというので、僕は一度しか行ったことがないのに、娘は何度も行っているお寿司屋さんに。
ちょいとつまんで帰路につきました。



3月26日(水)
おお、今朝はパッチリ目が覚めたぞ。
ちょいと事務仕事をしていたら、10時すぎちゃった。
あっっ!
11時にスペースゼロに行かなくちゃいけないのです。
明後日28日の「べらぶら3」の時に流れるCMの撮影をするのです。
喬太郎さんと伝の会で。
邦さんと喬さまのこしらえはもう決まっているんですが、僕のこしらえが決まっていない。
何を着たらいいかなぁ?
うーーん、そんなことを悩んでいる時間はなーーい。
とにかく、なにか衣裳を持つなり着るなりして新宿に向かうのらーーー。
イヤな予感がしたが、今日の地下鉄は動いていた。
良かった良かった。
急いだ甲斐があって、11時前にはスペースゼロに着いた。
スッゲー。
喬さま遅刻。
それまでの間、明後日のセットやら進行やらの打ち合わせ。
曲も決めなきゃね、舞台監督がいつものようにヒヤヒヤしている。
喬さま登場。
喬「遅刻しました。ほんとにすいません。誠にすみません」
テ「どうしたの?」
喬「ああいや」
テ「なんかあったの?」
喬「寝坊で」
テ「寝坊かーい!」
喬「あ、そう言ったほうがいいかなと(笑)」
テ「なんだよ(笑)」
なんだかわかんない喬さまですが、さっさと着替えて、みんなの支度ができたとこで撮影開始。
全労済の、1分くらいのCMなんですよ、たぶん。
本番直前にスクリーンが下りてきて、流されるんですよ、たぶん。
昨年もそうだったから。
トントンと撮ったので時間が残った。
ホールに入り、舞台に立ちながら「さくら劇場」の居所をする。
まだセットはないけど。
実際、舞台に立つといろいろアイデアが出てきて、形になっていく。
あとは当日のリハーサルだ。
どんなことになるやらーー。
みんなで小諸そばを食べて解散。
僕と邦さんは舞台監督と再び打ち合わせ。
ほんとに解散して、帰る道々考えた。
「さくら劇場」で、僕の役は決まっているんだが、どんなこしらえか。
また衣裳のことでの悩みかい。
うーーん。
邦さんと喬さまってキャラが作りやすいんだよなぁ。
衣裳も、これがいいよなってもんがスッと決まる。
僕はどーしよーかなーー。
ずーっと着物だなぁと思っていたんだけど、今日の打ち合わせで、展開が変わってきた。
洋服なんだなぁ。
洋服ってなぁ、なんだろなーーー????
それと、ふつふつと何かが沸いてきた。
衣裳のことではなく、音楽のこと。
どーしよーかなーーー?
今日の後半はずーっと、そのことを考えていた。
何かを生む時には、はい、まず片付けですね。
エッサカエッサカ。
家族が友達と「お風呂の王様」に行くと言うので、一度は断ったんだけど行くことにした。
行きがけに娘と喋っていたら、ふと沸いてきた。
うふふ、しめしめ。
お風呂に入ってボーっとして、とっとと一人で帰ってきて創作。
えへっ、でけたでけたーーー。
はっはははは、これでいいぞ。
さて、何を作ったのでしょうか?
答えられないのです。
イライラする日記でごめんなさーーい。
さくら劇場のオープニングであることをします、三人で。
解答は明後日の「べらぶら3」で。


3月27日(木) お豆腐屋さん。
近所の呉服屋さんの白瀧で7月19日に伝の会をすることが決まった。
その打ち合わせに行く。
行くと言っても、家から1~2分の場所。
なんか妙な感じだ。
タイトルで悩んだ。
「伝の会 地元編」か?
もひとつ。
歩いて1分くらいのとこに、お豆腐屋さんがある。
僕が小学校低学年の時からあるお豆腐屋さん。
久しぶりに買いに行くので娘を連れて行った。
テ「いないな。すいませーーん!」
娘「すいませーーん!」
テ「おっ、よく声が出るようになったな」
娘「すいませーーん!」
テ「出てこないな」
娘「声が?」
テ「違うよ」
娘「すいませーーん」
テ「じゃ、その水はった中から、絹を一丁、ビニールに入れなさい」
娘「ええっ!できないでしょ」
テ「そうやって子どもは育つもんだ」
娘「どんな育て方だよ」
テ「すんませーーん」
娘「すんませーーん」
テ「きれいにツレるなぁ」
娘「すみませーーん」
テ「誰かが店先であやまってますよーーー」
娘「あやまってんじゃないでしょ」
テ「すみませーーん」
娘「すびませーーん」
テ「おっ、『び』と来たか」
豆「はーーーい」
娘「あっ!」
テ「驚くなよ。俺たちが呼んだんだから」
豆「いらっしゃい」
テ「ほれっ(財布を娘に)、絹だ」
娘「絹ひとつください」
豆「はいはい」
テ「140円だ」
娘「はい」
豆「大きくなったねぇ」
テ「ははは」
豆「おじいちゃんおばあちゃんに見せたかったねぇ」
テ「そうですねぇ、母親そっくりな顔ですよね」
豆「ねぇぇぇ、何年生になったの?」
娘「今度、6年生です」
豆「あーらそお、見せたかったねぇ」
テ「俺は、お前より小さい時から買いに来てたんだぜ」
豆「おじいちゃんおばあちゃんに見せたかったねぇ、喜んだだろうねぇ。ありがとーー。」
テ「久しぶりにおばちゃんの顔見たなぁ」
娘「あのおばちゃんね、アタシがもっと小さい時に一人で買いにくるとね、通りを渡らしてくれたんだよ」
テ「そうなのかい、みどりのおばさんみたいにか」
娘「うん、主事さんみたいに」
テ「やさしいな。でも小さくなったなぁ、おばちゃん」
娘「・・・・」
両親や祖父母をよく知っている、お豆腐屋さんのおばちゃん。
いつまでも元気でいて欲しい。


3月28日(金)べらぶら3。



うーーー、眠い。
頭が痛い。
荷物たーくさん積んで、いざ出発、目指すは全労済スペースゼロ。
渋滞だーーー。
うわーーん。
やんなっちゃーう。
でも11時の集合に間に合った。
どうなってんだろ?
さて、まずは唄の練習ですよーー、みなさーーん。
実は26日のCM撮りの後、話し合って決めたっていうのが、
「さくら劇場」の最初の場面で歌を歌おうということだったのです。
伝の会と喬さまで歌う曲。
なんか懐かしい歌がいいなぁと思って考えてたんですが、
いっそオリジナル曲を作ったらと思ったのです。
それで、ずーっと考えていて、お風呂の王様に入るときにメロディと歌詞が出てきたのです。
うーーん、やれば出来る。
翌朝(27日)、喬さまと邦さんにメール。
「三人で歌う曲作りました。明日稽古しましょ」
そして今日が本番当日です。
はいはい、邦さん喬さま、練習練習。
曲のタイトルは「飲食四店王」
四つの飲食店のテーマ曲だからね。
♪喫茶のクニ、スナックきょん、軽食三味、スナックミミーー
簡単な曲なので、みんなあっと言う間に覚えてくれました。
はーい、オッケー。
じゃ、さくら劇場のリハーサルしまーーす。
本番は19時から。
伝の会のゲストは鶴澤津賀寿さん。
義太夫三味線です。
ま、昔からのお友達なんですが。
伝の会にも何度もご出演してもらっているお姉さんです。
伝の会のステージの直後には、
毎年恒例となった、六昶俉さんと邦さんの「まかしょ」の演奏。
そしてそのまま喬さまの出囃子の「まかしょ」につないでいきます。
これアッと言う間のことなんですが、ものすごく画期的なことだと思っているのです。
そして、喬さまの「転宅」があって休憩。
はーい支度支度ーーー。
「さくら劇場」という寸劇です。
ま、賛否両論ありましょうが、どうかお許しを。
とにかく、いらしてくださった皆様、ありがとうございました。
感謝感謝でございます。


3月29日(土)伝の会 新宿編。
前日の「べらぶら3」の打ち上げは、車で来ていた僕はウーロン茶でお付き合いした。
さぁ、今日は電車で行くぞーー。
飲み屋さんでやるライヴなんだから、しっかり飲むぞーー。
ブラックサンでやる「伝の会新宿編」、もう何回目になるのだろうか?
ちゃんと数えておかなくちゃな。

3月30日(日)伝の会 新宿編
今日もブラックサン。
今日も寒い。
今日も良いお客さま。
無事に二日間やりましたね。
よく喋り、よく弾いたライヴでした。
なんか調子がいまいちなので、今夜も早くに就寝。


3月31日(月)
一日お稽古日でした。
夕方から、やっぱりくしゃみが出ますなぁ、花粉なのでしょうなぁ。
それに風邪はひいていたみたいですなぁ、やっぱり。
夜8時にお稽古が終わったので、ちょいとゆっくりしたら良い体調になりましたわ。

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